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忍者 15話

第十五話 〔ドクオの修行〕



空気は澄んでいた。
澄み切った空気の中で二人、向かい合って座っている。

('A`)「……」

( ^ω^)「……」

掃除も粗方終えた内藤は、手に持っていた掃除機を床に置いて一息ついた。
そして、開口一言。

( ^ω^)「とりあえずその忍具に座ってみるお」

その言葉を受け、ドクオは渡辺に渡された忍具の椅子に腰掛けている。
内藤は内藤で、散々掃除機をかけた床を、それでも手で軽く叩いてから直に座った。
しばらくの間、沈黙が流れる。

('A`)「……」

( ^ω^)「……」

妙な緊張感が部屋を満たしている。
だがしかし、息の詰まるほどの圧迫感をドクオは感じなかった。
それは、内藤の醸し出す温厚な雰囲気があってのものなのだろう。


( ^ω^)「忍具に座ってみて、何か感じたことはないかお?」

(;'A`)「いや、特には……」

静かに内藤が問う。
それにイエスで答えられない自分に、ドクオは少し気後れを感じた。

( ^ω^)「おk、把握だお」

ドクオの返答に、内藤が顔色一つ変えずに反応する。
続けて、内藤は口を動かした。

( ^ω^)「それならとりあえず修行を始めてみるお」

(;'A`)「もう……」

内藤の柔らかい表情は変わらぬまま。
だがそれが、逆にドクオへの不思議なプレッシャーとなる。
汚れのない部屋が、妙に息苦しかった。

( ^ω^)「じゃあ、そこの壷で想像体になるお。ちょっと待っててくれお」

すくっと立ち上がり、内藤が壷に歩み寄る。
そして、先程掃除に使った掃除機を手にし、壷の前で再び座った。






('A`)(……なにしてるんだろ)

ドクオが呆然と眺めている先。
そこで内藤は自身の持つ掃除機のコードを、壷の底に突き刺している。

( ^ω^)「ここは、これで……えっと、あぁ。これでおkだお」

一人で呟きながら、内藤は壷に繋いだ掃除機を弄くっていた。
一定の間隔で機械音が響いた後、ふぅ、と内藤の口から音が漏れる。
どうやら作業が完了したようである。

( ^ω^)「これで設定完了だお。それじゃドクオ君、忍具を持ったまま壷を被ってくれお」

壷に向けていた視線をドクオへと移し、内藤が指示をする。
ただ椅子に座り、全身の力を抜いていたドクオは、小さく体を震わせて反応した。

(;'A`)「あっ、う、うん……」

右手で椅子の背もたれを掴み、内藤のいる場所へと歩み寄る。
うっすらと浮かぶ埃が、ドクオの周りを動いて。
そして、空気の流れを感じさせた。




( ^ω^)「そんじゃ僕も被るから、ドクオ君もよろしくだお」

そう言って、内藤は壷を被った。
何の情報も持ち合わせていない状態で見たら、どれほど滑稽な光景だったろう。
しかし、ドクオは壷を被る理由を知っていた。

(;'A`)(想像体か、良い思い出がないなぁ……)

思い出すのは兄者がさらわれた日。
自分はただ、襲われる兄者を見ることしか出来なくて。
泣き叫ぶ弟者に慰めの言葉をかけることが出来なくて。

(;'A`)(あの時以来かぁ……)

自分の不甲斐なさを呪った思い出を、今だけでも払拭して壷を手に取る。
ざらついた感触に、掌に伝わる重量感。
全てが、初めて想像体となったときとリンクする。

意を決して、ドクオは壷を被った。
視界が闇に包まれる。
が、数回瞬きを行うと、一気に視界が広がった。





('A`)「ここは……?」

目を広げると、ドクオの視界にまず最初に移ったのは内藤の姿。
そして木目を残した床に、広い四方を囲む床と同色の壁。
どこかの体育館に、ドクオたちはきていた。

( ^ω^)「ここなら修行に使っても広いからおkだお」

掃除機を持ちながら、内藤が言葉を投げた。
広く、澄み切った空気が充満する体育館に、その声ははっきりと響く。

( ^ω^)「それじゃあドクオ君、修行の第一歩だお。早速ここでも忍具に座ってほしいお」

(;'A`)「は、はぁ……」

自分が絡む間もなく、内藤がどんどんと予定を進めていく。
ドクオが右手を見ると、そこには確かに椅子の形をした忍具が握られていた。
内藤の言葉のままに、ドクオは座る準備を始める。

('A`)「……」

ゆっくりと、体重を椅子にかける。
微かに軋む音を響かせたが、それでも忍具はしっかりとドクオの体重を受け止めた。






( ^ω^)「おk」

ドクオが座ったのを見て、内藤が頷く。
そして言葉を続けた。

( ^ω^)「想像体の今なら忍具をフル活用できるはずだお。椅子ってことはさすがに武器としては使えなさそうだから……」

ここで一瞬の静寂。
内藤が思考を巡らせている間、二人のいる空間から音が消え去った。

( ^ω^)「よし、とりあえずあいつらを見てくれお」

僅かな間の静けさを打ち破って、内藤が体育館の隅を指差す。

|/゚U゚| + 激しく想像 +

|/゚U゚| + 激しく想像 +

そこには、見慣れた姿。
忍者が二体寄り添って、内藤とドクオの二人を眺めていた。

( ^ω^)「あいつらは今、僕らを想像してくれているんだお」

('A`)(そういや想像体だから想像してもらわないと存在できなかったんだっけ)

自分の状態を改めて確認させられたドクオ。
そんな彼に、内藤は言葉を投げかけた。





( ^ω^)「そんじゃあいつらを想像してみてくれお」

(;'A`)「……ほわっと?」

内藤の突飛な指示に、思わずドクオは聞き返した。
自分たちを想像してくれている存在を、さらに想像し返す。
その行為に何の意味があるのか、ドクオには考え付きもしなかった。

( ^ω^)「まぁいいから。きっと面白いことが起きるはずだお」

ドクオの訝しげな視線も気にせずに、内藤は指示の実行をすすめる。
その穏やかな言葉が、それでもどこか反論を許さない色を秘められていることを感じたドクオは、
言及することを諦めて、内藤に従うことにした。

(;'A`)「って、あ……」

そこでドクオは思い出す。
以前、荒巻宅の前で自分が内藤を想像したときに起きた出来事を。
空から降り注いだ、異形の姿をした者達を。

( ^ω^)「……どうかしたかお?」

しかし、内藤の目を見ると、そんなドクオの不安も掻き消されていくような思いがした。





('A`)(そうだよ……。今は電車から見ていた忍者が一緒なんだ。きっと大丈夫……!)

目の前の人物に、幾度も勇気と元気をもらってきた。
その経験を思い出し、今回もまた勇気をもらった。
ドクオは静かに、決意する。

('A`)「なんでもないよ。それじゃあ……」

目をつぶり、片隅にいる忍者を想像する。
全体を黒い忍び装束で包み、ギョロリとした丸い目だけを出している姿。
何度も乗せてもらった広い背中、驚異的な移動速度を生み出す筋力。

全てを完璧に想像した。

(;-A-)(うおっ)

その瞬間である。
ドクオの体とそれを支える忍具、椅子とが接する部位に異変が起きたのは。
ドクオは体の中の何かを椅子に吸い取られる感覚を覚えた。

「……はぁ、ドクオ君、もう眼を開けていいお」

そんなドクオの耳に届くのは、若干気落ちした内藤の声。




(;'A-)「え……?」

僅かに視界が開いた瞬間、その映像は飛び込んできた。

( ^^ω)「ホマー!」

( ^ω^)「……こいつはとんだ失敗だお」

沢山の足に体と同化している顔。
は瀬川が内藤と対峙していた。

(;'A`)「な、なんで……」

思わず漏れる驚嘆の声。
こちらに意識を向けることなく、内藤はそれに答えた。

( ^ω^)「それはこいつを始末してから話すお」

( ^^ω)「始末するのはこっちホマ」

内藤の言葉に反応したは瀬川が、大量の足をいったん屈ませる。
そしてそれらを一気に伸ばし、内藤へと飛び掛った。

( ^^ω)「死ねホマ!」




( ^ω^)「まだドクオ君の修行見なくちゃいけないから死なないお」

勢いよく飛んできたは瀬川を、内藤が睨み付ける。
その手には、掃除機。

( ^ω^)「そういやまだドクオ君に僕の忍具で戦うところを見せてなかったお」

(;'A`)(あれ……? あの掃除機、形が……)

その掃除機は、一般的なそれとほぼ同じであった。
唯一つ、ホースが異様に伸びていることだけを除けば。

( ^ω^)「ドクオ君、これが忍者の、そして忍具での戦い方だお」

言葉を紡ぎつつ、T字に取り付けられたヘッドをは瀬川に向ける。
角度を少しずらし、飛び込むは瀬川をホースの部分で受けた。

(;^^ω)「……ホマ?」

飛び込んだ勢いも相まって、見る間にもは瀬川は絡まっていく。
そして身動きが取れなくなったとき、内藤は再度ヘッドをは瀬川に向けた。






( ^ω^)「おっおっお。ゴミは掃除しなきゃだお」

(;'A`)(うわぁ、もろ悪人の台詞やん……)

ドクオの思いなど知ることもなく、内藤はヘッドをは瀬川の大きな顔へとくっつけた。
そして、開いたほうの手が掃除機へと伸びる。

( ^ω^)「スイッチオン」

ピッ、と小さな電子音が体育館に響く。
それは、ドクオにとってとても冷たく、重い音に聞こえた。

(;^^ω)「ホ、ホマー!」

電子音が響き終えると同時に、は瀬川の悲鳴。
それと掃除機の吸引音が辺りに響き渡った。

( ^ω^)「ブーンwwwwwwww」

(;'A`)(……)

吸引音を口で発しながら、内藤はは瀬川を吸い続ける。
あまりにも異様な光景に、ドクオは完全に引いていた。





(;'A`)(てか、『ブーン』ってこの音のことなのかぁ……)

状況にドン引きしながらも、どこか余裕のある頭で考え事をする。
その余裕は、おそらく内藤がは瀬川を圧倒していることから生まれたのだろう。
結果、ドクオは一歩退いているわけなのだが。

( ^ω^)「ブーンwwwwwwブーンwwwwwwww」

まるで新しいおもちゃを与えられた子供のように、無邪気にはしゃぐ内藤。
対照的に時間が経つにつれ、明らかにやつれていくは瀬川。

(ヽ´`ω)「ホ……ホマ……」

元来丸っこかったはずの顔は、今は見る影もなく痩せ細っている。
それこそ、掃除機に養分を吸い取られているかのように。

そして、この光景にも終わりが来た。

(ヽ゚゚ω)「ホマー!!」

は瀬川の断末魔の悲鳴が響く。
掃除機の音は一層高くなり、内藤付近に強風が吹き荒れた。






(;'A`)「うわっ!」

あまりの風に、ドクオが一瞬目を閉じた。
そして目を開く、この些細な時間の中で。

(;'A`)「あ……れ……?」

ドクオの視界には瀬川の姿が映ることはなくなっていたのだ。

( ^ω^)「これで掃除完了だお」

満足気な顔で掃除機の電源を切る。
そのまま顔を上げて、内藤はドクオへ目を向けた。
表情は変えずに、声を上げる。

( ^ω^)「ドクオ君、失敗だお」

(;'A`)「……えぇ?」

その声色に、落胆の色が隠されているのをドクオは察した。
だが、ドクオは未だに現状を全くと言って良いほどわかっていない。
どう答えることも出来なかった。





( ^ω^)「やっぱり、生産系の忍具は扱うのが難しいおね」

内藤の口から、聞きなれない単語。
理解が出来ずに、唖然とした表情をしていると、内藤が説明を継ぎ足した。

( ^ω^)「生産系ってのは想像で物を生み出せる忍具のことだお」

(;'A`)「……?」

( ^ω^)「例えば、長老。あの人の忍具は座布団だけど、あれをまぁ色々とすると生産の仕事もするんだお」

非常に概念的な説明を受けたところで、ドクオの頭がそれを理解することは出来ない。
はっきりとしないドクオの態度が、内藤の更なる説明を促した。

( ^ω^)「ドクオ君だって経験あるお? こっちの世界に来てから、なんとなく想像したら物が出てきたこと」

(;'A`)「いや、そんなこと常識的に……」

ないだろう、そう言葉を続けようとしたとき、ドクオは思い出した。
荒巻の家の前でも、まさに今現在でも。
自分が想像をしたと同時には瀬川が出現したことを。





(;'A`)「あった……かな……」

( ^ω^)「だお? 長岡から聞かなかったかお? ドクオ君は『想像力』が強くて選ばれたってことを」

(;'A`)「そういえばそんなことも言われたような気が……」

長岡の部屋で最初に集められた理由を聞かされた。
そのときのことをドクオは思い出した。

埃まみれの部屋の中、今はいない兄者と、今は話せなくなった弟者と、自分の三人で。
長岡の説明を受けても漠然と理解できなくて。
それでも自分の追ってきた忍者がいる里に来れた喜びだけは大きくて。

( ^ω^)「想像力は所詮想像。基本的には世界に干渉することはほとんどないといってもいいお。
       でも、時々想像力が強烈に強い人間がいたりするんだお」


( ^ω^)「そんな人が想像体という想像の世界で想像なんてしちゃうと、アクシデントを生み出すことがあるんだお。
       最近はそれだけに留まらず、現実世界でも想像だけで生み出すこともあるんだお。こないだのドクオ君みたく」

こないだ、とは荒巻の家の前で起きたことだろう。

(;'A`)(やば……想像でゲシュタルト崩壊してきたよ……)






( ^ω^)「ただ、想像力というものはとても不安定で脆いものなんだお。だから、忍具を使って安定させる。
       更に使いこなせれば、現実世界でも想像して創造し放題なんだお」

(;'A`)(えっと……ここは笑うところかな……?)

内藤の長々とした説明を受け、なんとなくではあるがドクオは理解し始めていた。
想像によって物を作り出す力が自分にはあること。
そしてそれは、訓練を受けなければ忍具と共に使いこなすことが出来ないということ。

(;'∀`)「は……はは……」

頭の中で整理し終えたドクオは、とりあえず内藤のギャグ疑惑の出ている台詞に笑うことにした。
想像して創造。
全く面白くもなんともないネタに笑うことは、ただ単に苦痛であった。

( ^ω^)「ちなみにあいつらは基本的に全部長老が昔の記憶を頼りに創り出したやつだお」

ドクオの乾いた笑みを流し、内藤は片隅にいる忍者を指差す。

|/゚U゚| + 激しく想像 +

|/゚U゚| + 激しく想像 +





(;'A`)「え……? あれって生き物じゃなかったの……?」

( ^ω^)「常識的に考えて生き物が生身であんな動きできるわけないお。
       でも、長老が子供の頃はあんなのがゴロゴロいたというんだから恐ろしいもんだお」

( ´`_ゝ)『ここで兄者のワンポイントアドバイス☆ kwsk覚えてない人は第九話を読み返せば頭すっきり!』

(;'A`)「!?」

( ^ω^)「ん? いきなり驚いてどうかしたかお?」

(;'A`)「いや、なんかとっても現実的ではない生物が出しゃばってきたような気がして……」

(;^ω^)「そ、そうかお……」

( ´`_ゝ)『フヒヒwwwwwwこれにて拙者の少ない出番は終わりでござるwwwwwwwwドロン☆』

(#^ω^)「……!」

(;'A`)「ちょ、いきなり険しい表情されても……」

(#^ω^)「いや、なんかとっても不愉快な生物が出しゃばってきたような気がしたんだお」

(;'A`)「そ、そっか……」





不穏な空気が二人の間に流れた。
だが、それも一瞬のことで、すぐにまた元の雰囲気へと空気が戻る。

( ^ω^)「とりあえずこれからの修行は基本、想像力による生産を安定させていくお」

(;'A`)「あ、うん……」

(;'A`)(切り替え早いな……)

これからの指針を示され、ドクオは修行が始まったことを再認識した。
そんなドクオに、内藤は言葉を続ける。

( ^ω^)「まず第一ステップはあの乗り物、君らにとっては忍者の生産だお。
       それができたら次は忍具を武器として扱う。だいたいこんな予定でいくお」

('A`)(武器……?)

忍具を武器として使う。
自分の忍具は単に、想像を具現化するだけのものと考えていたドクオは、一瞬だが戸惑う。
しかし、自分と同じ系統の忍具らしい荒巻は、座布団を武器として使っていた。

つまりはそういうことなのだろう。
自分の頭の中で疑問を浮かばせて、自分の中でそれに対する解答を考えた。





( ^ω^)「きっとしばらくは失敗して、さっきのは瀬川みたいのが出てくると思うお。
       でも、そのたびに僕が倒しておくから、ドクオ君は安心して想像していてくれお」

(;'A`)「あ、あぁ……うん。ありがとう……」

自分の修行のために内藤に迷惑をかける。
今までいじめられてきた境遇では、できる限り他人に迷惑をかけないように行動していた。
そんなドクオにとっては、修行自体よりも内藤にかける負担のほうが辛く感じられた。

( ^ω^)「まぁ、これは僕自身の修行でもあるから大丈夫だお。気にしないでおkおk」

ドクオの考えを読み取ったのか、内藤は今現在、ドクオに対して最も適切な言葉を発した。
それによって、ドクオの気持ちはいくらか救われる。

( ^ω^)(ドクオ君のことは今まで長く見てきたからなんとなくでもわかるんだお。
       それよりも、今は早くドクオ君にとりついてるは瀬川を、ドクオ君自身に何とかさせなくちゃいけないお)

内藤の忍具を握る手に、力が入る。
掃除機のホースが、微かに揺れた。

( ^ω^)(僕ももっと強くなって、長老の愛した貞子さんの敵を取るんだお)

(  ω )(そして、必ずツンのやつを……!)

それぞれの、それぞれなりの強くなる理由。
各人はそれに沿って、上を目指し始めていた。
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